近くでため息ばかりされて、本当にウザイと感じたことはありませんか?
何度もため息をつかれると、そのネガティブな空気に引きずられそうになりますし、「何か不満でもあるの?」と思ってしまいますよね。
そこで今回は、ため息をつくウザイ人の心理や、その対処法などについてご紹介するので、参考にしてみてくださいね。
ため息をつくウザイ人の心理

はじめに、ため息をつくウザイ人の心理を5つご紹介します。
- ストレスの発散
- かまってほしい
- 気持ちを切り替えるため
- 安堵したため
- 落胆したため
ストレスの発散
1つ目は、ストレスの発散です。
なぜなら、心理的にストレスがかかると、ため息をつくことで少しでも解放感を得ようとするからです。
NHKの「人はなぜ疲れたり嫌なことがあるとため息をつくのでしょうか?」でも解説されているように、ため息をつくことで、心の中に溜まった不安やイライラを吐き出す効果があると考えられています。
たとえば、仕事でうまくいかないときや、人間関係に問題を抱えているとき、何度もため息をつく人がいます。
これは、彼らが精神的な負担を和らげようとする無意識の行動です。
そのため、ため息をつく人が近くにいる場合、その人は強いストレスを感じている可能性が高いです。
かまってほしい
2つ目は、かまってほしいという気持ちです。
というのも、人は注目を引きたいときに、無意識にため息をついて他者に気づいてもらおうとするからです。
これは、心理学で「ストローク」と呼ばれる行動で、注目を引くためのシグナルとして使われることがあります。
たとえば、子どもが母親にかまってほしくてわざと悪いことをしたり、友人がため息をついて「ああ、大変なんだ」とアピールする場合などです。
そのため、ため息が多い人は、単に誰かに話を聞いてもらいたい、関心を持ってもらいたいという心理が隠れている可能性があります。
気持ちを切り替えるため
3つ目は、気持ちを切り替えるためです。
理由は、ため息をつくことで一度心をリセットし、次の行動に移ろうとするためです。
Teigen, K. H. (2008)の実験によれば、困難な状況に直面した後、人は一度ため息をついて気持ちを整理し、その後再挑戦することが多いことがわかっています。
たとえば、難しい問題を解くときに、一度諦めても、そこでため息をつくことで、再び問題に取り組んだそうです。
そのため、ため息を頻繁につく人は、気持ちを整理し、新たな目標に向かって進もうとしている可能性があります。
安堵したため
4つ目は、安堵したためです。
なぜなら、人は脅威や不安が取り除かれたときに、自然とため息をつくことがあるからです。
安堵とは、恐れていたことが起こらなかったときや、危険が去ったときに感じるポジティブな感情です。
たとえば、危険な状況から逃れたときや、試験や仕事のプレッシャーが一段落したときに「ほっ」とため息をつくことがあります。
VandenBos, G. R. (Ed.) (2007)の研究でも、ため息が安堵の一環として出ることを指摘しています。
そのため、ため息をつく人は、大きなプレッシャーや不安から解放され、ホッとした瞬間かもしれません。
落胆したため
5つ目は、落胆したためです。
というのも、人は期待が裏切られたり、望んでいた結果が得られなかったときにため息をつくことがあるからです。
これは、失望や残念な気持ちを外に表現する行動です。
たとえば、スポーツの試合で応援しているチームがミスをしたときや、大きなチャンスを逃したときなどに「ふう」とため息をつくことがあります。
これは、心の中での落胆を外に吐き出す行動です。
そのため、ため息をつく人は、何かに失望したり、思い通りにいかなかったことが原因である場合が考えられます。
ため息が出る原因-リセット仮説-

続いては、ため息がでる原因についてご紹介します。
ため息が出る原因としては、「リセット仮説」が有力とされています。
長時間の緊張やストレス状態にさらされると、人の呼吸は浅くなりがちです。
このとき、ため息をつくことで副交感神経が優位になり、身体がリラックスするのです。
リセット仮説を提唱したVlemincxとVan Diestらによると、ため息は自然にストレスを軽減するためのリセット機能ともいえます。
たとえば、長い会議や緊張感のある場面で突然ため息が出るのは、無意識に心身の緊張をほぐすためなです。
このように、ため息はただの疲れや落胆のサインではなく、体が自己防衛的に行うリラックスのための重要なプロセスと考えられています。
ため息ばかりつくウザイ人への対処法

続いては、ため息ばかりつくウザイ人への対処法を3つご紹介します。
- ゆっくり休んで心身を回復させる
- 「どうしたの?」と話を聞いてあげる
- リフレーミングをする
ゆっくり休んで心身を回復させる
1つ目は、ゆっくり休んで心身を回復させることです。
なぜなら、人は疲れていると、ため息に対する心の余裕がなくなり、些細なことでもストレスを感じやすくなるからです。
仕事の後や長時間の疲労がたまっているときには、まず自分の心身の回復を最優先することで、ため息に対しても余裕を持てるようになるはずです。
たとえば、家で母親がため息をすることがウザイときは、仕事から帰ったときに対応してあげたくても付き合うのが難しいです。
そのため、まずはしっかりと休養を取り、自分の疲れを癒すことが大切です。
「どうしたの?」と話を聞いてあげる
2つ目は、「どうしたの?」と話を聞いてあげることです。
なぜなら、ため息をつく人は、無意識に話を聞いてほしいと感じていることが多いからです。
ため息ばかりつく人に対して、心に余裕があるときに優しく話しかけ、状況を聞いてあげるだけでも、ため息が減ることがあります。
ただし、話を聞くときは、親身に聞こうとするとストレスになるので、「AHの聞き方」などのテクニックを使うのがおすすめです。
ちなみに、AHの聞き方は、僕が彼女の愚痴を聞くときに、ストレスなく聞けるようになった方法です。
気になる方は、こちらの記事「彼女の話を聞くのが疲れたなら、彼女とあなたを「同時に癒す聴き方」を!」を参考にしてみてくださいね。
リフレーミングをする
3つ目は、リフレーミングをすることです。
なぜなら、リフレーミングによって感情をコントロールしやすくなるからです。
リフレーミングとは、物事の捉え方を変えることで、感情のバランスを保つ心理的手法です。
たとえば、ため息をネガティブに捉えると聞かされる度に嫌な気持ちになりますが、代わりに「疲れているだけだ」と捉え直すことで、イライラ感が和らぐことがあります。
このように、リフレーミングをすることで、ため息をポジティブに受け止めやすくなります。
ため息ばかりつく人がウザイと感じる理由

続いては、ため息ばかりつく人がウザイと感じる理由を4つご紹介します。
- ため息にネガティブな認識があるから
- 自分が否定されるように感じるから
- 相手を変えようとしているから
- 自分が疲れているから
ため息にネガティブな認識があるから
1つ目は、ため息にネガティブな認識があるからです。
なぜなら、人の感情は出来事に対する認識で大きく左右されるためです。
ため息には「幸せが逃げていく」など、ネガティブな意味付けをされることが多いため、ため息を聞くと不快に感じる人が多いです。
たとえば、あなたも誰かがため息をつくと、「この人は不満があるのでは?」と感じることがあるかもしれません。
このように、ため息にネガティブな認識があると、無意識にウザイと感じることが多いです。
自分が否定されるように感じるから
2つ目は、自分が否定されるように感じるからです。
なぜなら、ため息が自分に対して不満を持っているように思えると、ストレスを感じやすくなるからです。
もし親やパートナーがため息をついたときに、「自分の行動に問題があるのかも」と勝手に感じてしまうと、否定された気分になり、ため息がウザく感じてしまうのです。
あなたも、親がため息をついたときに「また不満があるのかな」と感じて、イライラしたことがあるかもしれません。
このように、自分が否定されたように感じると、ため息が一層ウザく感じてしまいます。
相手を変えようとしているから
3つ目は、相手を変えようとしているからです。
なぜなら、相手の行動を変えようとすることは、できないことを強引に行おうとしている状態で、余計にストレスを感じてしまうからです。
というのも、ため息をつくかどうかは本人の意志であり、それを無理にやめさせようとすると、うまくいかないときにイライラしてしまうことがあります。
このように、相手を変えることは難しいため、余計にストレスがたまってしまいウザイと感じてしまうこともあります。
自分が疲れているから
4つ目は、自分が疲れているからです。
なぜなら、心身が疲れているときは、余裕がなくなり、些細なことでイライラしやすくなるからです。
仕事や日常の疲れがたまっていると、ため息だけでなく、他の小さなことでもすぐにストレスを感じてしまいます。
たとえば、あなたも仕事で疲れているときに同僚や家族や友人のため息にイライラしてしまうことがあるかもしれません。
このように、自分が疲れていると、ため息を余計にウザイと感じやすくなります。
ため息ばかりつくウザイ人の特徴

続いては、ため息ばかりつくウザイ人の特徴を4つご紹介します。
- ストレスがかかる環境
- ネガティブ思考
- 自己中心的
- 理想が高い
ストレスがかかる環境
1つ目は、ストレスがかかる環境です。
なぜなら、ストレスがかかる状況にいると交感神経が優位になり、リラックスしようとしてため息が出やすくなるからです。
たとえば、仕事や家事で常に忙しいだけでなく、一人でいる時間が長く孤独を感じている人も、ストレスがかかりやすい環境にあります。
このような状況では、ため息をつくことで一時的にリラックスしようとするため、ため息の頻度が増えることがあります。
そのため、ストレスがかかる環境にいると、ため息ばかりついてしまう人が増える傾向にあります。
ネガティブ思考
2つ目は、ネガティブ思考です。
その理由は、ネガティブ思考の人はストレスを抱えやすいからです。
たとえば、ネガティブ思考の人は、何でもネガティブに捉えようとしてしまうので、常にストレスを感じやすいと言えます。
結果として、交感神経が優位になりやすいので、ため息をつくことでそのストレスを軽減しようとすることが多くなります。
このように、ネガティブな思考の人ほど、ため息が多くなる傾向があります。
自己中心的
3つ目は、自己中心的な性格です。
理由は、自分勝手な人は思い通りにいかないことにストレスを感じやすく、感情のコントロールが難しいからです。
たとえば、自分の気分次第で人に接するような人は、期待通りに物事が進まないとストレスを感じ、その結果としてため息をついてしまいます。
だからこそ、自己中心的な性格の人はため息を多くつく傾向があります。
理想が高い
4つ目は、理想が高いことです。
その理由は、理想が高い人は期待を裏切られることが多く、それがストレスの原因になるからです。
たとえば、仕事で周囲に高いレベルを求める上司は、部下に期待が裏切られると、そのストレスからため息をついてしまうことが多くなります。
よって、理想が高すぎる人ほどため息をつきやすいのです。
ため息ばかりつくウザイ人へのNGな対処法

最後は、ため息ばかりつくウザイ人へのNGな対処法を2つご紹介します。
- 無視をする
- ため息をやめるように言う
無視をする
1つ目は、無視をすることです。
理由は、無視をすると相手のストレスが高まり、さらにため息をつく原因になるからです。
たとえば、ため息をつく人には自己中心的で幼稚な一面があることが多く、無視されることでさらにフラストレーションが溜まり、ため息が余計に出ることがあります。
そのため、ため息ばかりつく人に対して無視をするのは逆効果です。
ため息をやめるように言う
2つ目は、ため息をやめるように言うことです。
なぜなら、人は自分の行動を指図されることを嫌うからです。
たとえば、ため息をする人は、心が未熟な傾向があり、指摘されることに過敏になっています。
そのため、ため息をやめるように言うと、相手の反発心が強まり、さらにため息をつくことが増える可能性があります。
よって、ため息をやめさせようとするのは効果がないどころか、逆効果になることがあります。
ため息をつく人がウザイときの心理や対処法まとめ
ため息をつく人の心理や特徴、そして対処法についてご紹介しました。
まず、ため息が出る原因としてリセット仮説をもとに、長時間のストレスがため息を誘発することを説明しました。
また、ため息ばかりつく人がウザイと感じる理由としては、ストレスやネガティブな認識が原因であることが多いです。
さらに、ため息ばかりつくウザイ人の特徴として、ストレスに弱いことやネガティブ思考が関係していることも多いです。
対処法としては、疲れた心身を回復させたり、話を聞いてあげたりすることが有効ですが、無視したり、ため息をやめさせようとするのは逆効果になることがあるので注意が必要してみてくださいね。
参考資料
- 人はなぜ疲れたり嫌なことがあるとため息をつくのでしょうか?-NHK
- Teigen, K. H. (2008). Is a sigh “just a sigh”? Sighs as emotional signals and responses to a difficult task.Scandinavian Journal of Psychology, 49, 49– 57. doi:10.1111/j.1467-9450.2007.00599.x
- VandenBos, G. R. (Ed.) (2007). APA dictionary of psychology. Washington, DC: American Psychological Association.
- 井上佳奈,山本佑実,菅村玄二-関西大学-ため息はやる気を高める―随意的嘆息が安堵と動機づけに与える効果―
- 細川 貂々 (著)、水島 広子 (著)、やっぱり、それでいい。: 人の話を聞くストレスが自分の癒しに変わる方法、創元社、2018/11/8
- ジョセフ・オコナー、ジョン・セイモア、NLPの原理と道具「言葉と思考の心理学手法」応用マニュアル (フェニックスシリーズ) 、パンローリング株式会社、2019/7/17
- ロイ・バウマイスター (著)、ジョン・ティアニー (著)、渡会圭子 (翻訳)、WILLPOWER 意志力の科学、インターシフト、2013/4/22
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