自分が嫌いだと苦しいですよね。
自分の嫌なところを何度も思い出してしまい、そのたびに気持ちが落ち込んでしまう方も多いのではないでしょうか。
僕も、以前は自分の嫌なところを思い出したり、失敗するたびに自分を責めたりして、よく苦しんでいました。
今でも、ときどき自分のダメなところを意識すると落ち込むことがありますが、それでも「自分を嫌い」と思うことはなくなりました。
「自分を好き」かと聞かれれば、「はい」とは言えませんが、少なくとも好きでも嫌いでもない中立の状態にはなったと言えます。
あなたも、自分を好きになれなくても、嫌いじゃなくなれたら、少しは気持ちが楽になるとは思いませんか?
そこでこの記事では、僕が心理学の本を学び、実践して自分を嫌いじゃなくなった方法をご紹介したいと思います!
自分が嫌いになる原因

ここでは、「自分が嫌い」になる原因を、交流分析の視点からご紹介します。
交流分析は、心理学の中の1つの分野で、人の自我を5つに分類する考え方が特徴的です。
具体的には、人の自我を次の5つに分類します。
- 批判的な親の自我:
自分や他人を批判的にとらえる自我(保護者の批判的な言動に影響されている自我) - 保護的な親の自我:
自分や他人を思いやる自我(保護者の保護的な言動に影響されている自我) - 大人の自我:
物事を客観的にとらえる自我(冷静な大人の自我) - 自由な子ども心の自我:
素直に自分の感情を表現する自我(自分の感情を素直に出す自我) - 順応的な子供の自我:
自分の感情を抑えて周りにあわせようとする自我(自分の感情を我慢して周りを優先する自我)
この中で、「自分が嫌い」と感じているときに強くなっているのが、「批判的な親の自我」です。
例えば、仕事で失敗したり、人間関係で嫌なことがあったりしたとき、「なんて自分はダメなんだ…」と思うことがありませんか?
このとき、自分自身に対して批判的になりますよね。
こうした自我を「批判的な親の自我」と言い、あなたも自分を嫌いと思うときは、自分に対して批判的になっているのではないでしょか。
このように自分中に批判的な自我がある一方で、あなたの中には他の自我もあるはずです。
例えば、友達や大切な人が何かに失敗して落ち込んでいるとき、励ましてあげたり、相手の良さを伝えてあげたりすることがありませんか?
このときは、「保護的な親の自我」が強くなっていると言えます。
つまり、交流分析の考え方から分かるのは、自分を嫌いに感じるときは、「批判的な親の自我」が強くなり、まるで自分のすべてがダメなように感じてしまっているということです。
でも本当は、自分の嫌いな部分は、あなたや僕の一部分でしかないんです!
そして、この「批判的な親の自我」が強い人は、自分を嫌いになりやすいと考えられます。
では、この「批判的な親の自我」が、どのように形成されるのかを次にご紹介します。
自分が嫌いになる自我はこうして形成される

自分を嫌いになるとき、「批判的な親の自我」が強くなっていることをご紹介しました。
では、「批判的な親の自我」がどうやってできるのか?
ここでは、2つの要因をご紹介します。
- 養育者との関係から形成される
- 過去の出来事から形成される
養育者との関係から形成される
交流分析では、幼少期に世話をしてくれた人と関係の中で、「批判的な親の自我」が形成されると考えられています。
もし親に育てられたなら、親とのかかわりの中で、「批判的な親の自我」が形成されます。
例えば、親から褒められることが少なかった人は、「自分は十分じゃない」という価値観が形成されやすくなります。
その結果、どれだけ頑張っても「自分は十分じゃない」という考えが浮かんでしまい、そんな自分を嫌いに感じてしまうことがあるんです。
他にも、「自分に価値はない」という価値観ができてしまった人も。出来事に「自分に価値はない」という価値観を結び付けて、自分を嫌いになることがあります。
このように、幼少期に親とのかかわりの中で「批判的な親の自我」が強く形成されると、自分を嫌いになりやすい性格になってしまうことが考えられます。
実は、僕も交流分析を学んでから、「自分に価値はない」という価値観があることがわかりました。
そして、「批判的な親の自我」が自分の価値のなさを指摘していることで、自分を嫌いになっていることがわかりました。
というのも、僕は子どもの頃の親との関係を振り返ると、怒られた記憶ばかり思い出します。
イタズラをしてお尻を叩かれたり、夜に兄弟と喧嘩をして家から閉め出されたりした記憶があって、こうした強く記憶に残る経験により、「自分に価値がない」という価値観が出来上がったのかもしれません。
そのため、何かに失敗すると、自分には価値がないんだと勝手に結び付けてしまい、自分が嫌いになっていました。
ちなみに、僕自身と両親との関係ですが、親には不自由なく育ててもらったので、親を憎むことないし、むしろ感謝することばかりです。
今でも、すごく良好な関係を築けていますが、それでも、子どもの頃の親との関係が、「批判的な親の自我」に強く影響しているんだと思います。
過去の出来事から形成される
「批判的な親の自我」は、一般的には養育者との関係で決まると言われています。
ただ、幼少期の出来事も影響すると言われることもあります。
例えば、保育園や幼稚園、小学校では、親以外にもたくさんの人と関わりますよね。
そいういった色んな人との関わりの中でも、自分の中で様々な価値観が生まれます。
その結果、「批判的な親の自我」に通じる価値観が生まれることで、批判的な思考が強くなり、自分を嫌いになってしまうことも考えられます。
僕自身は、このパターンで思いつく事例はなかったですが、トラウマを抱えている方などは、もしかしたら思い当たる節があるのではないでしょうか。
自分が嫌いじゃなくなった方法

ここまでに、主に交流分析の視点から、自分が嫌いになる原因についてご紹介してきました。
おそらく、あなたが知りたいのは、自分が嫌いと思ってしまう辛い状況から抜け出す方法ではないでしょうか?
そこで、僕自身が自分を嫌いじゃなくなった理由として考えられる方法をいくつかご紹介します。
1つ1つの効果は、小さいかもしれませんが、長期的に継続することが最大のポイントだと思います。
簡単にできることから試してみてくださいね!
ただし、トラウマを抱えていたり、過去を思い出すことが辛かったりする方は、一人でやらないことが大切なので、必ず専門家に相談することをおすすめします。
嫌いな面は自分の一部でしかないことを思い出す
交流分析では、人には5つの自我があると考えることをご紹介しました。
また、交流分析以外の分野では、サブパーソナリティという考え方もあります。
サブパーソナリティとは、自分を構成する性格、1つ1つのことです。
つまり、僕やあなたが自分を嫌いだと思っているとき、それは自分の一部分を嫌っているにすぎません。
しかし、その嫌っている一部分が自分のすべてだと思い、自分のすべてが嫌いだと感じてしまっているんです。
例えば僕の場合は、何もやりたいことが見つからずに悩んでいるとき、自分ってダメだな…と思い嫌いになることがありました。
でも、やりたいことが見つからないのは、僕自身の一部でしかありません。
やりたいことがなくたって、毎日仕事をこなしている点や、人にやさしくできる点は、嫌いではありません。
このように、自分を嫌いだと思っても、それは自分の一部でしかないことを思い出すと、心が楽になりやすいですよ。
意識的に保護的な親を押し出す
自分を嫌いになるときは、「批判的な親の自我」が強くなっている可能性があります。
そこで、意図的に「保護的な親の自我」を強くします。
具体的には、友達や大切な人が同じ状況にいるときに、かけてあげる言葉と同じ言葉を自分にもかけてあげます。
例えば、友達が上司に叱られて落ち込んでいるところを想像してみてください。
「誰でもミスをすることがあるから、次に頑張れば大丈夫だよ」など、優しくて、相手を思いやる声をかけてあげませんか?
その「保護的な親の自我」を使って、自分にも思いやりがある言葉をかけてあげます。
そうすることで、自分を嫌う苦しさが楽になることが何度もありました。
ポジティブなストロークを自分へ与える
交流分析では、人と人との触れ合いを「ストローク」と言います。
ストロークには、物理的な触れ合いだけでなく、言葉や態度による触れ合いも含まれます。
そしてストロークには、「ポジティブ・ネガティブ」「無条件・限定的」の2軸で分類した4つのストロークにわけられます。
- 無条件でポジティブなストローク(何もなくても君は素晴らしい)
- 限定的でポジティブなストローク(成功した君は素晴らしい)
- 無条件でネガティブなストローク(何もしなくても君はダメ)
- 限定的でネガティブなストローク(失敗したことはダメ)
この中でも、できるだけ無条件でポジティブなストロークを自分に与えてあげるようにします。
僕の場合は、「よく頑張っているよ」「何もできなくたって、それでも良いんだよ」「今日も頑張ってくれてありがとう」などのストロークを自分に与えるようにしています。
他にも、仕事の後に腰が痛くなったら、撫でてあげることもあります。
たったこれだけですが、スッと心が楽になるんですよね。
信頼できる人間関係を築く
信頼できる人間関係も、嫌いな自分を変える方法になります。
なぜなら、信頼できる人間関係からは、ポジティブなストロークを受けられるからです。
例えば、僕の場合は妻とポジティブなストロークを交換することができています。
もともと自分が嫌いだった僕も、妻からポジティブなストロークを受けることができたらからこそ、自分を嫌いじゃなくなることができたと思っています。
あなたも、たった一人で良いので、誰かと信頼関係を築いてみてください。
それは、親でも友達でも恋人でも大丈夫なので、互いにポジティブなストロークを与え合える関係を築けると、少しずつですが自分を嫌いじゃなくなるはずです。
エゴグラム診断
交流分析では、自分の性格を知るときにエゴグラムという診断をします。
エゴグラムは、はじめにご紹介した5つの自我が、それぞれどのくらいの強さかを診断するテストのことです。
例えば、僕が読んだ本に載っていたエゴグラム診断では、以下のようになりました。

このように僕は、「批判的な親の自我」が強いため、自分を批判しがちになってしまい、その結果、自分を嫌いになってしまうことがわかりました。
エゴグラムにより自分のそれぞれの自我の強さを知るだけでも、客観的に自分を見やすくなるので、自分を嫌う辛さかが和らぎやすくなるはずです。
また、自分のそれぞれの自我の強さを知ることで、自分の感情をコントロールしやすくなるはずです。
例えば、僕の場合は、「批判的な親の自我」と同じくらい、「保護的な親の自我」も強いため、自分が嫌いなときも、保護的な親の自我を意識することで、自分を嫌う辛さから抜け出しやすいんだと思います。
もし、「大人の自我」が強い場合は、客観的な思考を強めることで自分を嫌う感情が軽くなるかもしれません。
また、「自由な子どもの自我」が強い方は、好きなことに没頭することで、自分を嫌いな感情から離れやすくなるはずです。
あなたもエゴグラムで、自分の自我の特徴を知ることで、自分を嫌って苦しい時に、上手く対処できるようになるかもしれませんよ。
もしエゴグラムが気になる方は、ネットでエゴグラム診断と検索すると、無料で試せるテストがあるので、試してみてくださいね。
何かに挑戦する
何かに挑戦することも、自分を嫌って苦しいときの対応法としておすすめします。
心理学の中でも比較的に新しい分野に、ポジティブ心理学があります。
ポジティブ心理学では、持続的な幸福(ウェルビーイング)を目的にしています。
あなたも、幸福な気持ちでいるときは、自分を嫌う苦しさを感じにくいはずです。
そんなポジティブ心理学では、持続的な幸福を実現するために5つの要素を大事にしており、各要素の頭文字をとってPERMA(パーマ)と言っています。
<ポジティブ心理学のPERMA>
- Positive emotion:ポジティブな感情
- Engagement:没頭
- Relationship:人間関係
- Meaning:意味・意義
- Achievement:達成
このうち、「没頭」と「達成」の2つを実現できるのが、何かに挑戦することです。
例えば、目標に向かって進み、達成することで、「没頭」と「達成」の2つを満たすことになり、持続的な幸福を実現できますよね。
あなたも、何かに熱中しているときに、自分を嫌いだと思うことは難しいのではないでしょか。
それに、目標を達成したときに自分を嫌うことも難しいはずです。
そのため、小さな目標で良いし、はじめは少し興味を持つくらいで良いので、何か目標を決めて挑戦してみてください。
僕の実践した簡単な例としては、気になった本があったときに、次の日にそれを読むという目標を立てました。
こうしたちょっとした目標でも、達成するだけで気持ちは軽くなるんですよね。
もちろん、大きな目標がある方は、それを達成するために頑張ることも良いと思います。
目標の大きさは関係ないので、何かに挑戦することをしてみてください。
それにより、持続的な幸福を感じやすくなり、自分を嫌う苦しさが楽になるはずです。
頑張ってきた自分を癒す
あなたが自分を嫌いだと感じるとき、心の中のあなたが関係しています。
心理学でいう、インナーチャイルドという部分です。
例えば、人間関係が苦手な自分を嫌いだとします。
このとき、インナーチャイルドは、人間関係を嫌うことで、自分が傷つかないように守っていることが良くあります。
もし、人間関係に積極的になれば、さらに多くの人と関わることで傷つく可能性もあるわけです。
このように、インナーチャイルドが、本人を守ろうとして人間関係を嫌いに思うことで、本人は自分を嫌いになってしまい、苦しんでしまうことがあるんです。
でも、このインナーチャイルドは、本人が子どものころに人間関係で傷ついたために生まれています。
だからこそ、このインナーチャイルドにも癒すが必要です。
だからこそ、これまで自分を守ってくれたことを感謝して労わってあげてみてください。
それだけで、心がふわっと軽くなり、自分を嫌う気持ちが軽くなることがあるはずです。
専門家に相談する
最後は、専門家に相談することです。
人によっては、自分を嫌う苦しさにどうしても対処できないこともあると思います。
今回ご紹介した交流分析やポジティブ心理学は、自分を嫌って苦しいとの対応方法の1つに過ぎません。
心理の専門家であれば、あなたに合った方法を教えてくれることもあります。
もしご紹介した方法が参考にならないときは、専門家に相談してみることをおすすめします。
現在では、オンラインで気軽に相談できるサービスもあるので、気になる方は、こちらを参考にしてみてくださいね。
うららか相談室の口コミと評判|選ばれる理由と人気のカウンセラー
まとめ
自分が嫌いで苦しい方のために、僕が自分を嫌いだった原因と対処法をご紹介しました。
自分が嫌いだと、自分を責めてしまって本当に苦しいですよね。
あなたは、僕以上に自分を嫌い、辛くなっているかもしれません。
でも、交流分析を参考にして自分を嫌ってしまう原因を知り、ご紹介した対処法を試すことで、少しずつですが自分を嫌いな状態から抜け出せるはずです。
ただ、時間はかかるので、焦らずにゆっくり変わる心持ちで試してみてくださいね。
もし、それでも上手くいかないときは、専門家に相談してみるのも良いかもしれませんよ。
参考資料
本記事を書くために参考にした書籍はこちらです。
- 3つの自分で人づきあいがラクになる
- ポジティブ心理学の挑戦
- イラストレート心理学入門
- 交流分析のすすめ
- 好きな自分、嫌いな自分、本当の自分
- 「本当の自分」がわかる心理学
- わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学―
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