- 初対面の人に名前の読み方を説明するのが嫌だ
- 自分の名前の響きが嫌い
- 苗字と名前のバランスが悪くて嫌だ
- 名前の漢字の画数が多くて嫌い
自分の名前が嫌いで、このように感じている方は多いのではないでしょうか。
上記の内容は、実は昔の僕が感じていたことなんです。
もしあなたが、昔の僕と同じように自分の名前を嫌っているなら、この記事でご紹介することを試すことで、少しは心が軽くなるかもしれません。
僕が心理学を学び、実際に試して良かった方法をご紹介するので、ぜひ読んでみてくださいね。
自分の名前が嫌いになる原因

まずはじめに、自分の名前が嫌いになる原因について解説します。
おそらく、詳しい原因は人それぞれ違うと思いますが、きっと似たような理由で自分の名前を嫌いになった方が多いと思います。
自分の名前が嫌な方の理由を調べると、そこには2つの過程があることが多いです。
- 自分の名前が嫌いになる根本的な出来事
- 嫌な気持ちを強化する出来事
それぞれについて、解説していきますね。
根本的な出来事
根本的な出来事とは、自分の名前が嫌いになるきっかけとなる出来事です。
僕の場合は、両親との出来事がきっかけだと考えられます。
僕は、「すぐる」という名前です。
保育園や小学生のころ、父親に「なんでも、すぐやるから、すぐる」と言われていた記憶があります。
こう言われたことが、自分の中で嫌な記憶になっているんです。
詳細は、後ほど解説しますが、こうした自分の名前でネガティブな感情になる出来事が、あなたにもあったのではないでしょうか。
もしそうなら、それが名前を嫌いになる根本的な出来事だと考えられます。
嫌な気持ちを強化する出来事
嫌な気持ちを強化する出来事とは、自分の名前が嫌いになったことでさらに意識するようになった、名前にまつわる嫌な出来事です。
例えば、僕の場合で言うと、冒頭でご紹介した以下のような点です。
- 初対面の人に名前の読み方を説明するのが嫌だ
- 自分の名前の響きが嫌い
- 苗字と名前のバランスが悪くて嫌だ
- 名前の漢字の画数が多くて嫌い
これらの出来事が直接の原因となって自分の名前が嫌いになった、という方は少ないはずです。
自分の名前が嫌いになったから、上記のような内容が気になるようになったという方が多いのではないでしょうか。
というのも、人は自分の価値観で現実を捉えてしまうことがあるためです。
例えば、好きな人のことは良い点が見えやすく、嫌いな人のことはダメな点が見えやすいですよね。
名前も同じで、名前が嫌いだと、名前のダメな点や嫌な点ばかり見えてしまいます。
結果的に、どんどん名前を嫌いになってしまいます。
おそらく、あなたも上記のような、名前が嫌いになる根本的な出来事と、嫌な気持ちを強化する出来事を経験しているのではないでしょうか。
もしそうであれば、自分の名前を嫌いな状態から抜け出すためには、上記の嫌な気持ちを強化する出来事ではなく、はじめにご紹介した根本的な出来事に対する認識を変えることがおすすめです。
そこで、僕が、根本的な出来事に対する認識を変えた方法について、次にご紹介します。
自分の名前が嫌いという思いから解放される方法

もともと自分の名前が嫌いだった僕が、その思いから解放されたのは、心理学の精神分析という分野を学んだからです。
ここでは、精神分析による心理療法で使われる方法を、ギュッと凝縮して3ステップにまとめた方法をご紹介します。
3ステップは以下になります。
- 自分の名前が嫌いな自分と対話する
- 自分の名前が嫌いな自分に感謝を伝える
- 自分の名前が嫌いな自分を安心させてあげる
解説する前に、1つ前提となる知識を共有させてください。
この方法では、自分の自我を2つに分けます。
詳細は以下の記事で解説しているのですが、心理学では自我をいくつかの種類に分類する考え方があります。
個人的には、この自我を分ける方法を使ったことで、名前を嫌いな自分に上手く向き合えるようになり、嫌な気持ちから解放されました。
自我を分ける方法として、まずはあなたの中に、2人の自分をイメージしてみてください。
1人は自分の名前が嫌いだと思っているあなた、もう1人は物事を客観的に見られるあなた。
これができたら、ステップ1に進んでくださいね。
自分の名前が嫌いな自分と対話する
準備ができたら、自分の名前が嫌いなあなたと、物事を客観的に見られるあなたで対話します。
ここでは、便宜上、それぞれの自分を次のように定義します。
- 自分の名前が嫌いなあなた:子どもの自我
- 物事を客観的に見られるあなた:大人の自我
まずは、大人の自我から、子ども自我に、次の3つの質問をしてみてください。
- どうして自分の名前が嫌いなの?
- 名前を嫌うことを通して、どうやって自分を守ろうとしているの?
- もし名前を嫌うことをやめたら、私はどうなる?
この質問をすることで、自分の名前が嫌いな原因がはっきり見えてくるはずです。
参考として、それぞれの質問について、僕が対話した例をご紹介します。
大人の自我:
どうして自分の名前が嫌いなの?
子どもの自我:
だって言いにくいじゃん。それに小学校や中学校で、1学期の初日に、担任の先生には絶対に名前を読んでもらえなかったでしょ。
それに、プライベートや仕事でも、名前を確認されるときは、必ず説明しなきゃいけないから、面倒くさいんだよ。
それに、子どもの頃は、親から勉強や歯磨きをするように言われたときに、「何でもすぐやるからすぐる」、と言われたでしょ?あのときは、なんだか急かされているみたいで嫌な感じがしたんだ。
だから、そんな風に言われて自分の名前が嫌いになったんだよ。
このように子どもの自我の声を聞いていく中で、名前が嫌いになった根本的な出来事がなんとなくわかってくると思います。
出来事に正解はないので、あなたが、「これかも!」と思った内容をとりあえず根本的な原因にしてみることもありですよ。
大人の自我:
名前を嫌うことを通して、どうやって自分を守ろうとしているの?
子どもの自我:
自分の名前を受け入れるのって、親に急かされているみたいで、なんだか窮屈だったんだ。
だから、名前を受け入れることは、急かされることを受け入れないといけないみたいで、嫌だったんだよ。
だから、名前を嫌うことで、親に抵抗して、自分の自由を守ろうとしていたんだ。
この質問のポイントは、人の言動の背景には、必ず自分のメリットになることがある、という考え方です。
とくに、心理的には自分の守ろうとする無意識が働くと言われています。
そのため、自分の名前を嫌うことで、自分の何を守ろうとしているのかを探ってみてくださいね。
理由を探すヒントとしては、僕のように「自由」といった、人間が本能的に求める欲求が背景に隠れていることが多いです。
大人の自我:
もし名前を嫌うことをやめたら、私はどうなる?
子どもの自我:
また、親に名前で怒られて傷つくよ。親に反抗できなくなっちゃうよ。嫌な思いをさせた親を許さないといけなくなってもいいの?
自分の名前を嫌うことで、少なからず助かっている点もあるはずです。
そうした一面に気づくことも、自分の中の子どもの自我を理解する重要なポイントになります。
ここまで、僕が大人の自我と子どもの自我で対話した内容を簡潔にまとめてみました。
参考になったら、時間をかけてゆっくり対話してみてくださいね。
名前を嫌いになった、根本的な原因がきっと見つかるはずです。
自分の名前が嫌いな自分に感謝を伝える
ここまでで、自分の名前が嫌いな子どもの自我が、どうして自分の名前を嫌っているかが、わかったかと思います。
また、対話を通して、子どもの自我があなたを守るために、一人でずっと頑張ってくれてきたこともわかったのではないでしょうか。
そこで次は、大人の自我で子どもの自我を癒してあげましょう。
具体的には、大人の自我から子どもの自我に感謝を伝えることです。
参考になるように、ここでも僕の事例をご紹介します。
大人の自我から子どもの自我に感謝を伝える
大人の自我:
これまでずっと嫌な気持ちを抱えていたんだね。
ずっと頑張って抵抗して、僕の自由を守ろうとしてくれていたんだね。
本当にありがとう。
僕の場合は、こんな感じで、頭の中で目の前に子どもの自分がいることをイメージして、語りかけました。
このように感謝を伝えることで、自分の名前を嫌うことの苦しさがスーッと軽くなる感覚がありました。
感謝の言葉に正解はないので、あなたの中の子どもの自我が望む言葉をかけてあげてみてくださいね。
自分の名前が嫌いな自分を安心させてあげる
大人の自我と、子どもの自我との対話の最後は、子どもの自我を安心させてあげることです。
これまでの感謝を伝えることで子どもの自我を癒した後は、安心できる言葉をかけてあげることで、未来に向かって大人と子どもの自我が安心して一緒に進むことができます。
安心できる言葉をかけてあげる事例も、僕が行った対話を参考にしてみてくださいね。
大人の自我から子どもの自我へ安心できる言葉をかけてあげる
大人の自我:
もう大丈夫だよ。
親は仕事で疲れていて、子育ての余裕がなかったから、「何でもすぐやるから、すぐる」って言って、すぐに行動してほしかったんだって、今なら分かるんだ。
無理やりやらせようともしていなかったでしょ。
だから、軽い気持ちや冗談で言っていただけなんだよ。
それに今なら、これまでにずっと大切に育ててくれたことがわかるんだ。
好きなことをたくさんやらせてくれたでしょ。だから、もう自分の名前を嫌いにならなくても大丈夫だからね。
これからは、隣で一緒に歩いていこう。
話してくれてありがとうね。また、いつでも話そうね。
このように大人の中立的な立場から、子どもに話しかけるように安心できる言葉をかけ、これからも一緒だということ、そして、また話そうと声をかけてあげることで、子どもの自我は安心できるので、さらに心が軽くなるはずです。
実際、あなたも、もし誰かに上記と同じような対応をされたら、きっと安心できるのではないでしょうか?
それと同じように、あなたの中の子どもの自我を安心させてあげてみてくださいね。
そうすることで、自分の名前を嫌う苦しさが、さらに軽くなるはずです。
自分の名前が嫌に感じたときの対処法

最後は、自分の名前を嫌に感じるときの簡単な対処法をご紹介します。
ここまでにご紹介した自分との対話を繰り返すことで、少しずつ気持ちが軽くなっていくはずです。
それでも、完全に気持ちが晴れるまでは、一時的に自分の名前を嫌だと感じる感情が強くなる状況が訪れることもあるでしょう。
そんなときに役立つ方法を2つご紹介します。
これらを試すことで、自分の名前を嫌って気持ちがズーンと落ちる状況を回避しやすくなると思います。
その方法は、次の2つです。
- 相手の言動と自分を切り離す
- 嫌いじゃなければOKくらいに理想を下げる
1つずつ解説していきますね。
相手の言動と自分を切り離す
人は、周囲の出来事と自分を関連付けてしまうことがあります。
例えば、名前をよく間違えられたときに、「自分の名前が良くないからだ」と思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
また、日常的な例で言うと、相手が怒っていたら、「何か気に障ることをしちゃったかな~」と自分に原因があるか考えたことはありませんか?
このように、あなたも相手の言動や周りの出来事と自分を関連付けてしまうことがよくあるのではないでしょうか。
しかし、自分の名前が嫌いだと感じる状況があっても、その状況と自分の名前の良し悪しに関係はないはずです。
他人が読めない漢字の名前だからといって、あなた自身やあなたの名前自体の価値は変わりませんよね。
そのため、自分の名前が嫌いに感じたときは、「あ、この出来事と自分の名前は関係ない」と、気づくことで、気持ちが落ち込むのを回避しやすくなります。
ただ、もしそれでも気持ちが落ち込むようなら、都度、先ほど解説した子どもの自我との対話を実践してみてくださいね!
嫌いじゃなければOKくらいに理想を下げる
自分の名前が嫌いな方の中には、理想の名前がある方もいるのではないでしょうか。
ただ、基本的に自分の名前を変えるのは難しいですよね。
そこで、すこし厳しい内容になりますが、知っておいていただきたいことがあります。
それは、理想を追い求めすぎると苦しくなることがあるということです。
名前に限らず、理想を追い求めて、どんどん自分が嫌いになった経験がある方も多いのではないでしょうか。
心理学の研究では、理想を追い求める生き方よりも、現状に満足する生き方の方が、幸せになれることがわかっています。
専門用語で、理想を追い求める人をマキシマイザーと言い、現状を満足する人をサティスファイサーと言います。
人間は、「現状に満足する」という選択肢を選ぶことができるんです!
そこで、現状の自分の生活の中で満足できる点を探してみてください。
例えば、僕の場合で言うと、寝ることが好きなので、毎日、清潔なベッドでぐっすり眠れているだけで十分に幸せを感じられることに気づきました。
他にも、おいしいご飯を毎日食べられるし、信頼できる生涯のパートナーに出会うこともできました。
これだけで、僕の人生は十分すぎるくらい幸せなんですよね。
このように現状で満足できる点を探すと、自分の名前が嫌いなことに対する気持ちも、少しは軽くなると思います。
そのため、自分の名前が嫌になるときがあったら、現状で満足できる点を探してみることもおすすめです。
まとめ
自分の名前が嫌いになる原因をはじめ、対処法や役立ちそうな情報をご紹介しました。
多くの方は、過去のある出来事がきっかけで自分の名前が嫌いになったのではないでしょうか。
でも、そうした心の傷も、自分との対話を繰り返すことで、少しずつ癒され、気づけば自分の名前を嫌う気持ちも軽くなるはずです。
僕自身、もともとは名前だけでなく自分自身が嫌いで、見た目や思考など、何もかもが嫌いでしたが、今ではその状態から抜け出すことができました。
自分が好き、とまではいかないけど、「好きでも嫌いでもない」という状態で、現状に満足できるようになりました。
そのため、昔の僕のように自分の名前を嫌ってしまうあなたも、きっと今の状態から抜け出せると思うので、子どもの自我との対話を参考にしてみてくださいね。
参考資料
本記事を書くにあたり、下記の本を参考にしました。
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